『雇用調整助成金』新型コロナ対応:休業手当と助成金額のポイント

このブログは2020年3月15日時点のため、最新情報にご注意ください。

『雇用調整助成金』新型コロナ感染症対応:休業手当と申請時の助成金額ポイント

 新型コロナウイルスの感染者が増える中、経済にも影響が出始めています。
 雇用調整助成金が要件緩和され、以下のような理由の影響で事業を縮小せざるを得ない会社は利用を検討すべき助成金です。

観光客の減少を受けて休業を余儀なくされる観光関連産業、飲食店
・新型コロナウイルスの影響で部品が調達できずラインが止まる製造業、建設業
・会社内で感染症が発症し、会社を一時閉鎖する企業

行政の要請を受けて、感染防止のために事業縮小する会社
・百貨店やお店が時間短縮のため休業を余儀なくされ時短休業
 など

 雇用調整助成金は、新型コロナウイルスにより従業員を休業させた際、会社が従業員の給与を保障し、一部助成金として補助される助成金です。
 新型コロナウイルスの影響がどこまで広がるか分からない最悪の事態に備え、把握しておきたい内容です。
 雇用調整助成金をうまく活用するには、会社が支払うお金『休業手当』と会社がもらえる金額『助成金額』を知ることがもっとも重要です。
 このブログでは、従業員への給与の支払い「休業手当」のポイントと「雇用調整助成金の助成金額」についてまとめています。


雇用調整助成金の内容を詳しく知りたい方は下記ブログを参照ください。

雇用調整助成金申請時の『休業手当』とは?

雇用調整助成金を申請する際は、休業させた従業員に対して『休業手当』の支払いが必要です。休業手当について法律では、

労働基準法 第26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

と定められており、会社の都合で仕事を休ませた際は、平均賃金の60%以上の休業手当(給与保障)の支払い義務があります。

また平均賃金とは

労働基準法 第12条
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

労働基準法で計算方法が定められており、過去3ヵ月に支払われた給与を3か月間の総日数(暦の日数)で割り、平均を出します。
この計算にはボーナスや退職金は含みません。
会社から休業を命令したときは、基準を満たす平均賃金の60%以上、休業手当の支払いが必要であると労働基準法に定められています。
雇用調整助成金を利用するには、休業手当支払率を労使で協議し、協定書を結ぶ必要があります。協定書で60%~100%の間休業手当支払率を決定します。

雇用調整助成金 休業協定書例

雇用調整助成金を利用する上では、従業員を休業させた際に支払うお金「休業手当」を60%~100%の間で、補償する支給率を保障できる範囲で考え決定する必要があります。

雇用調整助成金の『助成金額』は?

雇用調整助成金を利用する上で受給できる助成金額を知ることが大切です。
 助成金額は直近の労働保険料を申告した数字から算出するため会社によって金額が違います。まずは自社の受給金額の確認手順を抑えましょう。

お手元に直近で申告した「労働保険確定保険料申告書」をご用意ください。
このような用紙です↓↓

※労働保険事務組合へ委託している際は、「労働保険料納入通知書」と「労働保険料算定基礎賃金等の報告書」です。

手順①労働保険料申告書から申告した「賃金総額」と「雇用保険被保険者数」の確認

「労働保険確定保険料申告書」が用意できたら、下記を金額を控えて下さい。
   (ハ)雇用保険法適用者分の申告した金額
   ⑤雇用保険被保険者数

手順② 1年間の所定労働日数を確認

次に申告した年度の所定労働日数(働く予定だった日数)を確認
※上記例
平成30年4月1日~平成31年3月31日の所定労働日数
例では、年間休日が105日。
365日ー年間休日105日=所定労働日数 260日

手順①と②の数字を確認後、計算式に当てはめる。

※大企業 助成率:1/2
※緊急事態宣言を発出している地域 助成率:中小企業 4/5 、大企業2/3
※教育訓練を行う場合は+1,200円

 

計算例① 中小企業で休業手当60%とした場合

雇用保険賃金総額 57,884,000円 ÷ 雇用保険加入平均数 12人
× 年間所定労働日数 260日 = 18,553円

18,553円 × 休業手当率 60% × 2/3  = 7,422円

従業員12人 全員に10日間休業した場合
12人 × 10日 × 7,422円 = 890,640円

計算例① 中小企業で休業手当80%とした場合

雇用保険賃金総額 57,884,000円 ÷ 雇用保険加入平均数 12人
× 年間所定労働日数 260日 = 18,553円

18,553円 × 休業手当率 80% × 2/3  = 9,895円
ただし、上限が8,330円のため、8,330円となる。

従業員12人 全員に10日間休業した場合
12人 × 10日 × 8,330円 = 999,600円

上記計算例のようにポイントは、
・支給額の1日単価上限が8,330円まで
・休業手当支払率をかけるため上限に近づくよう支払率を検討する必要がある。
・どの従業員が休んでも会社として決定された単価が支給される。
・給与が高い従業員が休業すると会社にとっては不利になる。
・緊急事態宣言が発出されると助成率があがる。

雇用調整助成金は、「休業手当」の支払いと「雇用調整助成金額」を把握したうえで休業が必要な部署や部門を検討し対応することが必要です。

雇用調整助成金申請時に必要書類

事前に休業計画を届出することが必要な雇用調整助成金ですが、新型コロナウイルスの特例により令和2年5月31日までは、1月4日以降の休業についてさかのぼって提出することができます。

【初回 休業計画提出必要書類や添付資料例 】
・様式第1号(1) 休業等実施計画(変更)届
・様式第1号(2) 雇用調整実施事業所の事業活動 の状況に関する申出書
※ 生産指標の確認のための書類を添付
最近1か月分及び前年同期1か月分の月ごとの売上高、生産高又は出荷高を確認できる「月次損益計算書」「総勘定元帳」「生産月報」などの書類
休業協定書 ダウンロード可
労働者代表選任書 ダウンロード可
・組織図
・履歴事項全部証明書
・就業規則、年間休日カレンダー

【支給申請時に必要書類例 や添付資料例 】
・様式第5号(1) 支給申請書
・様式第5号(2) 助成額算定書
・様式第5号(3)  休業・教育訓練実績一覧表及び所定外 労働等の実施状況に関する申出書
・ 共通要領様式第1号   支給要件確認申立書
・ 休業した期間のタイムカードまたは出勤簿、シフトによる場合はシフト表
※ポイント タイムカードまたは出勤簿に休業した日は「休業」と記入
・休業した期間の賃金台帳 初回は休業前3ヵ月分も
休業した日を休業減額 、支給した分を休業手当と表記
残業あれば時間数を表示していること
・労働保険料申告書

申請書類については、短時間休業や教育訓練、また労働組合がある場合には違う書類が必要なため申請時に労働局や社会保険労務士にご確認ください。
また雇用調整助成金は現在、残業が多いと相殺されます。
休業した後に残業が多くなりそうなケースは申請に注意が必要です。

本来、休業は避けたいことですが新型コロナウイルスの感染を予防するためには休業することは有効です。制度の内容を把握したうえで経営判断をすることは重要であり、不明点は労働局または社会保険労務士にお問合せください。

ご相談等について

ふじもと社会保険労務士事務所では、リーマンショック時に「雇用調整助成金」の申請を多く対応した実績があります。ご相談については、お問合せフォームよりお気軽にご相談ください。多くの方に制度を正確に情報を知って頂きたいため記事作成等のご依頼ありましたらもお問合せ受付しています。

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