新型コロナ感染症の救済措置:厚生年金保険料の納付猶予
新型コロナウイルス感染症の影響をうけて売上の減少があった会社は厚生年金保険料の納付を1年間猶予できるよう特例が設けられました。
この特例の注意点は、必ず申請が必要です。借入は時間がかかるため、支払いを遅らせることは、きびしい今を乗り超えるための有効な手段です。
担保が不要、延滞金もかからない特例ですが免除ではないため計画的に利用を検討しましょう。
厚生年金保険料の納付猶予が使える会社は?
・要件① 『前年同期売上20%以上減少』
・要件② 『厚生年金保険料の支払いが困難であること』
両方を満たす会社が厚生年金保険料の納付猶予を申請することができます。
厚生年金保険料の納付猶予の要件さらに詳しく
要件① 新型コロナウイルスの影響により、2020年2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、売上が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること。
概ね20%以上減少であるため、20%に満たない場合は管轄の年金事務所へご相談ください。
下記の申請欄にて売上が20%以上減少していることを計算し、証明します。
要件② 厚生年金保険料等を一時的に納付することが困難であること
一時的に納付することが困難であることとは次のどちらかを満たす必要があります。
・一時的に厚生年金保険料を納付する資金がないこと
・厚生年金保険料を事業の継続のために必要な少なくとも今後6か月間の運転資金に充てた場合に厚生年金保険料を納付する資金に余裕がないこと
厚生年金保険料を納付する余裕がない会社が対象であり、運転資金6か月分を確保できている会社は利用できません。
下記の申請欄の計算にて納付が難しいことを証明します。
「収入」欄
○ 法人及び個人の事業所の事業等に係る売上等が対象です。
○ 臨時的な収入である各種給付金は、収入金額に含まれません。
前年同期の収入金額が分からない場合、以下の書類を参照し、申請書を作成してください。
【法人の場合】
前期に税務署へ提出した「法人税申告書」に添付した「法人事業概況書」の裏面の「月別売上高等の状況」
【個人事業者の場合】
青色決算書を提出されている方は、「青色決算書」の2面の「月別売上(収入)金額及び仕入金額」
「支出」欄
○ 法人及び個人の事業所の事業等に係る支出(※)が対象です、
※仕入、販売費など。個人の事業所においては生活費も含みます。
いつ支払いの厚生年金保険料が対象?
・令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までに納期限が到来する厚生年
金保険料等が対象
※上記の期間のうち、既に納期限が過ぎている厚生年金保険料さかのってこの特例を利用できるため納付が遅れている会社はかならず申請をご確認ください。
新型コロナウイルス感染症の影響による納付猶予のメリット・デメリットは?
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、今がきびしい会社は厚生年金保険料の納付を猶予することにより運転資金にあてることができます。
メリット
①延滞金が掛からない
②担保が不要
③猶予した保険料分を運転資金にあてることができる
デメリット
①猶予であり、免除されないため将来納付が必要
②申請が必要
厚生年金保険料の納付猶予の申請手順は?
厚生年金保険料納付の猶予(特例)を申請する場合は、「納付の猶予(特例)申請書」を作成し、管轄の年金事務所へ郵送にて申請します。
《申請書の記載に必要となる書類》
■コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等について
(例)売上帳、現金出納帳、預金通帳の写しなど
■収入及び支出の状況等について
(例)仮決算書(将来見込)、資金繰表(試算表)など
■現金・預貯金残高について
(例)預金通帳の写し、固定資産台帳、不動産登記簿謄本など
※後日 年金事務所の職員から聞き取りがあるためご用意ください。
提出は申請書のみで可能です。
国税、地方税、労働保険料等について、納付猶予の特例が許可されている場合は、猶予許可通知書のコピーを添付することにより申請書の一部を省略することができます。
新型コロナウイルス感染症から会社を守るために
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける会社に対して、さまざまな制度が公表されています。厚生年金保険料の猶予のみならず、労働保険料・国税、地方税や中退共制度の猶予など制度を把握し対応を検討するが有効です。