キャリアアップ助成金は、契約社員・パート、アルバイト・派遣社員などの非正規労働者に対してキャリアップを促進につかえる助成金です。2020年度のキャリアアップ助成金は7つのコース。このブログでは7つのコースの概要が3分でわかるよう解説しています。
なおこのブログでは、中小企業について解説しています。大企業は金額が違うためご留意ください。
2020年度キャリアアップ助成金の概要
「キャリアアップ助成金」は、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員といった、いわゆる非正規雇用労働者の会社でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
キャリアアップさせる助成金対象者は、非正規雇用労働者。
2020年は7つのコースに分かれており、概要は下記のとおりです。
コース名 | キャリアアップ概要 | 支給金額 |
①正社員化コース | 契約社員・パート、アルバイト・派遣社員など正社員や無期雇用に転換 | 1人あたり 285,000円~720,000円 |
②健康診断制度コース | 助成金対象者に「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上実施 | 1回かぎり 380,000~480,000 |
③賃金規定等改定コース | 助成金対象者の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成 |
1人あたり |
④賃金規定等共通化コース | 正社員と共通の職務等に応じた賃金規定を新たに作成し実施 | 1回かぎり 570,000円~720,000円 |
⑤諸手当制度共通化コース | 正社員と共通の諸手当制度を新たに設けて実施 | 1事業所あたり 380,000円~ 人数に応じて加算 |
⑥短時間労働者労働時間延長コース | 短時間労働者の週所定労働時間を延長と処遇の改善、新たに社会保険に加入 | 1人あたり 45,000円~284,000円 |
⑦選択的適用拡大導入時処遇改善コース | 社会保険の適用拡大の措置の導入 | 1事業所あたり 190,000円~ 人数に応じて加算 |
①もっとも利用しやすい『正社員化コース』
契約社員・パート、アルバイト・派遣社員など正社員や無期雇用に転換する際に利用ができます。
正社員や無期雇用への転換ルールを就業規則に規定と給与水準を5%アップすることがポイントです。
2020年度もっとも利用しやすいコースです。
転換内容 | 支給額 | 生産性向上あり支給額 |
有期契約 → 正社員 | 570,000円 | 720,000円 |
有期契約 → 無期契約 | 285,000円 | 360,000円 |
無期契約 → 正社員 | 285,000円 | 360,000円 |
②福利厚生を充実させる『健康診断制度コース』
非正規雇用労働者を対象とする『法定外の健康診断制度』を新たに規定し、延べ4人以上に実施すると最大480,000円。
ポイントは非正規雇用労働者に法定『外』の健康診断を実施。
非正規雇用労働者にも福利厚生を充実させたいときに利用を検討したい助成金です。
延べ4人以上実施 | 支給額 | 生産性向上あり支給額 |
1回限り | 380,000円 | 480,000円 |
③最低賃金アップにあわせて利用を検討『賃金規定等改定コース』
非正規雇用労働者に対しての賃金規定を増額改定し、昇給した場合に助成。
ポイントは、賃金規定に賃金表を設けて、2%以上増額すること。
例年、最低賃金が2%~3%上昇しているため、改定される10月前に実施することで利用しやすいコースです。
【すべての非正規雇用労働者の賃金規定を2%以上増額改定した場合】
対象労働者数 | 支給額 | 生産性向上あり支給額 |
1人~3人 :1事業所あたり | 95,000円 | 120,000円 |
4人~6人 :1事業所あたり | 190,000円 | 240,000円 |
7人~10人 : 1事業所あたり | 285,000円 | 360,000円 |
11人~100人: 1人あたり | 28,500円 | 36,000円 |
【一部の賃金規定を2%以上増額改定した場合】
対象労働者数 | 支給額 | 生産性向上あり支給額 |
1人~3人 :1事業所あたり | 47,500円 | 60,000円 |
4人~6人 :1事業所あたり | 95,000円 | 120,000円 |
7人~10人 : 1事業所あたり | 142,500円 | 180,000円 |
11人~100人: 1人あたり | 14,250円 | 18,000円 |
④同じ職務には適正な給与を『賃金規定等共通化コース』
就業規則に非正規雇用労働者に対して、正社員と共通の職務等に応じた賃金規定を新たに作成し、適用した場合に助成されます。
非正規雇用労働者に対しても適正な評価を検討したいときに利用したいコースです。
支給額 | 生産性向上あり支給額 | |
1回限り | 570,000円 | 720,000円 |
⑤同一賃金同一労働の対策には『諸手当制度共通化コース』
非正規雇用労働者に対して、正社員と共通の諸手当を新たに規定し適用した場合に助成されます。
同一賃金同一労働の対応時に利用を検討したいコースです。
【共通化対象となる諸手当】
①賞与 ②役職手当 ③特殊作業手当・特殊勤務手当 ④ 精皆勤手当 ⑤食事手当 ⑥単身赴任手当 ⑦地域手当 ⑧家族手当 ⑨住宅手当 など
共通化手当 | 支給額 | 生産性向上あり支給額 |
共通化手当1回限り | 380,000円 | 480,000円 |
2つ目以降10手当まで | 160,000円 | 192,000円 |
⑥働く時間を延長するときは『短時間労働者労働時間延長コース』
短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を図って、新たに社会保険に加入した場合に助成されます。
アルバイト・パートの働く時間を延長するときには、検討したいコースです。
【1週間5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合】
延長時間数 | 支給額 | 生産性向上あり支給額 |
5時間以上:1人あたり | 225,000円 | 284,000円 |
【手取り収入が減少しないように1週間の労働時間を延長と基本給を昇給、新た
に社会保険に適用した場合 】
延長時間数 | 支給額 | 生産性向上あり支給額 |
1時間~2時間:1人あたり | 45,000円 | 57,000円 |
2時間~3時間:1人あたり | 90,000円 | 114,000円 |
3時間~4時間:1人あたり | 135,000円 | 170,000円 |
4時間~5時間:1人あたり | 180,000円 | 227,000円 |
⑦社会保険の適用を拡大するなら『選択的適用拡大導入時処遇改善コース』
労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施する会社が対象。
加入義務のない非正規労働者に対しても社会保険の適用拡大するときに検討したいコース。
支給額 | 生産性向上あり支給額 | |
1回限り | 190,000円 | 240,000円 |
まとめ|キャリアアップ助成金を受給するには
キャリアアップ助成金を受給するには『キャリアアップ計画書』を事前提出することがポイントです。
また就業規則が必要となるため、就業規則整備もあわせて行いましょう。
7つのコースのなかで、多くの会社が利用している正社員化コース。
2020年度もっとも利用しやすい助成金です。