『雇用調整助成金』計画届の申請ポイントを社労士が解説!!新型コロナウイルス特例

雇用調整助成金_新型コロナウイルス特例_ふじもと社会保険労務士事務所


新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休業や時間短縮など雇用を調整している会社は『雇用調整助成金』の申請を検討されているかと思います。

報道では、「雇用調整助成金は使いにくい」「申請に手間がかかる」「窓口の電話が繋がらない」など多くの声があり、計画届の申請方法をまとめました。

雇用調整助成金の申請を検討されている会社へ参考となれば幸いです。

※このブログは2020年5月5日時点の情報です。改正にご注意ください。

雇用調整助成金とは?新型コロナウイルス感染症特例

雇用調整助成金にとは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な雇用調整(従業員を休業させている)会社が利用できる助成金です。

従業員を休業されることにより、会社は給与を保障し、その一部が助成金として会社に振り込まれる助成金です。

雇用調整助成金おもなポイント 新型コロナウイルス感染症特例
※2020年4月1日~6月30日の緊急対応期間
業 種 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全業種
対象者 アルバイトや契約社員なども含む全従業員
※新入社員も初日から利用可
要 件 生産量や売上高など前年比5%さがっていること
手続き 計画届を2020年6月30日までに提出
助成率 中小企業は8割~9.4割 ※ただし1人上限8,330円

助成金を利用するには必要書類を揃え、会社の管轄する労働局へ提出する必要があります。

なぜ雇用調整助成金は利用しにくいと言われているかというと
・新型コロナウイルス感染症特例の改正が日々行われている
・労働基準法を守っていないと受給できないため法律を把握しておく必要がある
・不正受給を防ぐため添付資料が多い
などが、おもな原因です。

しかし、新型コロナウイルス感染症の特例により書類が大幅に簡略化されポイントを抑えると申請は容易です。
このブログでは計画届の申請方法のポイントを解説していきます。

まずは雇用調整助成金を受給できるか要件をチェック ※4月1日~6月30日の緊急対応期間

雇用調整助成金を受給するには要件があります。
大きな要件は3つ

①雇用保険に加入している会社であること。
※4月1日~6月30日の緊急対応期間は、労災保険のみ加入している会社も対象。

②新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業活動が縮小していること

売上高などの事業活動を示す指標が最近1か月間と前年同月5%以上減少していること 

直近1か月の売上高などは、計画届を提出する前月であるため提出する月に注意が必要です。

また上記要件を満たさない場合は、
・直近1か月と前々年同期1か月を比較し5%減少でも可
さらに上記要件を満たさない場合は、
・計画届を提出する月の前年同月から計画届を提出する月の前々月までの
間の適当な1か月との比較し5%減少でも可

※ただし令和2年1月24日~3月30日の間、休業分を申請する際は10%減少していることが必要です。

③ 過去直近に不正受給をしていないこと

雇用調整助成金申請の全体のながれ

おおまかな全体のながれは「計画届を提出」→「休業を実施」→「支給申請」→「数か月後振り込み」

本来計画届は事前提出であるところ、特例により2020年6月30日まではさかのぼって提出することが可能です。

参照:厚生労働省 雇用調整助成金のガイドブック(簡易版)

ながれを押さえて雇用調整助成金の休業計画届の作成

各都道府県によって、すこし添付資料が違うことがあるためまずは会社の管轄する労働局へ確認後、準備を進めてください。
なお、さらに2020年5月6日厚生労働省より簡略化の予定が公表されたため必要書類については事前にチェックが必要です。

まず雇用保険に加入されている方と未加入者では様式と助成金名が違うため注意が必要です。

対象者 助成金名
雇用保険加入者 雇用調整助成金
未加入者 緊急雇用安定助成金


必要書類(大阪労働局 例) 
※雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金で重複する添付書類は省略可能です。

  書式名 備考
様式特第4号
雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書

【添付書類】
「売上など」がわかる既存書類(コピー)
(損益計算書、売上簿、営業収入簿、会計システムの帳簿など)

様式第1号(1)
休業等実施計画届
雇用保険加入者 ↓
雇用調整助成金 休業等実施計画届
未加入者 様式 ↓
緊急雇用安定助成金 休業実施計画届
※休業対象者によって様式が違う。
それぞれ提出が必要
休業協定書 【添付書類】
(労働組合がある場合)組合員名簿
(労働組合がない場合)労働者代表選任書

※省略することも可能です。ただし、調査時のチェックを考えると必ず用意ください。
事業所の規模を確認する書類  組織図または既存の労働者名簿及び役員名簿など常時雇用する労働者数の分かる書類
就業規則、賃金規定 就業規則がない場合は雇用契約書を添付 
年間休日カレンダー
(2018年度分)
年間休日カレンダーがない場合は
年間所定労働日数申告書(2018年度分)

変形労働時間制を採用している場合 協定届、勤務カレンダーやシフト表
雇用保険未加入者については 対象者の雇用契約書や労働条件通知書

雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書のポイント

新型コロナウイルス感染症の特例により雇用調整助成金を申請する際は必ず
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業活動が縮小していること』が要件です。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け売上などが5%以上下がっていることを
雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書」により理由を記述し証明をします。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない売上減少については新型コロナウイルス感染症の特例を受けれないたまえ注意が必要です。

※また記載して数値に対して根拠である損益計算書などを添付
 

②休業等実施計画届のポイント

休業等実施計画届の最大のポイントは休業計画の予定であるため、前営業日(全所定労働日)を記入します。また短時間休業がある際は、大阪労働局では2段書きをし、休業日に〇をつけます。

ただし、教育訓練については予定される場合きっちり定めて実行を行う必要があります。

雇用保険加入者 雇用調整助成金 休業等実施計画届
未加入者    緊急雇用安定助成金 休業実施計画届

対象者によって様式が違うこともご留意ください。それぞれに提出が必要です。

またまちがった際のためにかならず「捨印」を押印ください。

③休業協定書の記入例

休業協定書 参考ひな形ダウンロード可 (大阪労働局様式)

休業協定書では、おもに
1.休業の時期 給与締日ごと もしくは 対象期間の1年でも可
短時間休業を行う際はかならず協定書でも記載
2.休業の対象 基本的には全部門、全従業員で協定がよい
3.休業手当の支払い基準 
※最低でも労働基準法で定められている平均賃金の60%以上の協定が必要。
月給なら、月給をいくらで割るのか?
何の手当を何パーセント保証するのか?
通勤手当など実費支給は含むのか?
などを考慮し、労使間で協議し決定。

支給率については何パーセント支給するにより、助成率も変わるため注意が必要です。

休業協定書 例 


添付省略可能ですが、
(労働組合がある場合)組合員名簿
(労働組合がない場合)労働者代表選任書 ダウンロード可

過半数以上の同意を得た従業員代表者と協定書を結ぶ必要があり、添付は不要でも、正しく手続きをしていることを証明するために用意をください。

事業所の規模を確認する書類

全従業員名前と部署が載っている組織図を用意。
組織図がなければ、この機会に作成をください。なお組織図作成のポイントは短時間休業はある程度、部署ごとや職種ごと等のかたまりをもって短時間休業することが要件となっています。
短時間休業をする際は、かたまって短時間休業していることを組織図上で証明できるように作成しましょう。

組織図例 雇用調整助成金

⑤就業規則、賃金規定

就業規則、賃金規定のコピーを添付ください。

雇用調整助成金ではおもにチェックされる箇所があります。最新となっているか自社の要件と一致しているかご確認の受け提出ください。
できれば就業規則は社会保険労務士にチェックしてもらうことが理想です。

【就業規則・賃金規定おもな雇用調整助成金チェックポイント】

項目 おもなチェックポイント
適用範囲 どの労働者に対して適用される規則となっているか
労働時間 実態とあっているか、法律を守られているか
※短時間休業時はとくに要チェック
休憩 実態とあっているか、法律を守られているか
休日 実態とあっているか、法律を守られているか
※雇用調整助成金は休日以外が申請対象となるため最重要ポイント。
休日の振替 記載があるか
変形労働時間制の採用 届出が必要なものは届出されているか
給与締日支払日 実態とあっているか
給与体系 実態とあっているか

⑥年間休日カレンダーのポイント

雇用調整助成金で提出する年間休日カレンダーは、重要です。
実態とあうよう、労働基準法を守られているよう働きすぎなカレンダーを提出することは助成金申請にひっかかるケースがあります。
助成金の申請対象になるのは働く予定日のみです。
なら働く予定日を多く作成するといいと思われがちですが、助成金の単価計算時に過去の働いた労働日数で計算されるため多く作成することにより単価が下がったり働きすぎになり法律を守っていないこともでてくるため実態に合わせて作成ください。

また一から作成するケースは愛知労働局ホームページよりエクセルの年間休日カレンダーをダウンロードがおすすめです。

参照:愛知労働局 ホームページ



なお大阪労働局へ提出の際は、年間休日カレンダーを提出が難しいサービス業などシフト表及び2018年度の働いた実績を申告書にて提出です。

雇用調整助成金の申請ポイントまとめ

新型コロナウイルス感染症の特例による雇用調整助成金の申請は日々、改正されています。2020年5月6日にもさらに簡略化されることが厚生労働省より公表されています。最新情報に注意して申請をご検討ください。
上記様式例や添付資料についても2020年5月5日時点での様式例であり管轄の労働局によっても違いがあるためご注意ください。

助成金の申請は申請期日がぜったいです。申請もれがないよう正しく対応が必要です。

自社で申請がむずかしい場合は社会保険労務士にご相談ください。



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